薔薇色狂想曲
碧には、秘密にしている。

来月の、碧の誕生日の日にある花火大会で、サプライズでプロポーズをすることを。

学生時代に碧と親しかった人たちにも、協力を仰いで貰っている。

碧は人混みが苦手だ。

今は、俺が所属していた大学が開発した薬剤のおかげで、以前よりは発作が起きる頻度が減ってはいる。

だが、刺激になることは極力避けたい。

だからこそ、宝月 麗眞に頼んで、花火が良く見える位置からクルーズ船で花火を観ることにしている。

そして、いくつか婚約指輪の候補も見繕ってある。

そろそろオーダーをかけなければ間に合わない。

それは、碧にだけは知られてはならない。

……サプライズではなくなってしまう。

外での外食が多いのも、プロポーズ大作戦に向けた話し合いだ。

決して浮気とか、断じてそんなものではない。

なのに。

こんな言い争いをするはずではなかった。

今からこんな体たらくでは、先が思いやられる。


……何とかして謝らなきゃな。

そう思いながら、纏まらない

 思考を何とか整理しようと、熱いシャワーを浴びた。


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