薔薇色狂想曲
ミントグリーンに白い花柄の浴衣を着た碧が、おずおずと顔を出した。

「似合う……かな……」

普段の仕事中のオフィスカジュアルな服装の碧も好きだ。

だが、浴衣もとても似合っている。

浴衣に合わせた白の花柄のヘアクリップも、荷物があまり入らなそうな巾着かごバッグも。

碧の儚げな雰囲気にピッタリだ。

赤い顔、隠せてるかな?

「いいじゃん。
すごく可愛い。

さすが俺の彼女」

危うく、未来の奥さん、と言いかけてしまった。

自分で、自分が計画したプロポーズを失敗させたら笑うに笑えない。

俺の言葉に、照れたように顔を赤くする彼女。

その様子が可愛くて、つい意地悪をしたくなってしまう。

そっと碧の耳元に唇を寄せた。

「可愛すぎて、俺がどうにかなりそうなんだけど。

後で責任、取ってね?」


「2人とも、いつまでもイチャついてないの。
……これに着替えなさい。

せっかくだし、彼女の浴衣に雰囲気合わせたほうがいいわよ」

そう言われて、彩から浴衣を渡された。

着ていたシャツとジーンズ、カーディガンを脱いで、浴衣を着た後に矢吹さんに整えてもらう。

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