薔薇色狂想曲
「やーっとか。
言うの遅い!

俺たち、ずっと待ってんだぜ。

ほら、フィナーレもうすぐだから、よく見える場所来いよ」

ぐい、と道秋くんや拓実くんに腕を引っ張られる。

碧がおぼつかない足取りで危なっかしく移動するので、奥さんの手を引いてやる。

「すごーい!」

様々な色の花が、夏の夜空に彩りを与えてくれた。

フィナーレは、虹色の花火だった。

フィナーレはそれだけのはずだったのだが、花火師さんが特別に薔薇の形の花火を1発、打ち上げてくれた。


……その花火は、薔薇色の未来を予感させるものに見えた。

碧の瞳にも、そう見えていますように。

その想いを、碧への口づけに込めた。

「碧、大好き」

「もう!

 皆の前なのに!

 ……たまにはいいか。

 最近こういうのもなかったし」

 碧が最高に可愛い笑顔を俺に向けてくれた。

……今日は、世界一幸せな日だ。
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