薔薇色狂想曲
「そういうとこは不器用よね、成司くんって。

さっきみたいな気遣いはしてくれる辺り、学生時代はさぞかしモテたんでしょうけど。

そういうことは、職場の付き合いとかい言えばいいの!

何なら、可愛い妹さんの相談に乗ってたとかでもいいし。

物は言いようよ」

人の気も知らないで、よくもまぁ好き勝手言ってくれるな。

「んで?

碧には謝らないで今日出てきたわけ?

……人間失格薬剤師ね。

碧が発作でも起こしてたらどうする気なの?

夜勤明けだから、様子見がてら行ってやるけど。

感謝しなさいよ」

岩崎 理名(いわさき りな)ちゃん。


さすが主治医兼、碧の同級生だ。

俺を睨む目は怖かったが。

ネイビーのブラウスに黒のロングスカートの裾をなびかせて、颯爽と病院を出ていった彼女。

「あれま、相当お怒りだな、理名のやつ。

まぁ、上手く言い訳できない成司くんも不器用だったんじゃないの?」

何度も同じことを言われると、結構メンタルに来る。

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