薔薇色狂想曲
俺の今のメンタルは地面に落とされた卵のようだ。

「まぁ、姫には機嫌を直す和のスイーツでも手土産にしてやるか。

成司くんのせいだし、美味しいお店探してね。

甘いものは苦手だから、和のスイーツで」

そう言い添えて回診に向かったのは、理名の彼氏の拓実(たくみ)くんだ。

まぁ、先程ありがたいアドバイスをくれた深月、先程面倒な宿題を言い添えて仕事に向かった彼。

2人とも碧とは同級生なのだ。

同級生の方が、付き合いが長い分、何かと理解し合える部分があるのだろう。

……少々、いや。

かなり羨ましい。

さて、切り替えて仕事だ。


面倒な宿題が付いて回ったのが堪えたらしく、なかなか業務に身が入らなかった。

結局、そういう店に詳しい深月ちゃんが、いろいろ情報を持って来てくれたのだった。

「ありがとうな、深月ちゃん」

「んー?

いいのよ。

理名とは同級生だしね。

彼女の好みは知ってるから」

早々弁当を食べ終えて、スマホとにらめっこしている俺を見かねて、声を掛けてくれたようだ。

資料を渡すだけ渡して、ひらひらと手を振って精神科病棟へ向かっていった彼女。

……個人的に折りを見てお礼しなきゃな。
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