本の虫は恋煩う。
今日は、何でもない至って平凡な日曜日。
学校もなければ、遊びに行く予定も友達もない。
所謂ぼっちな私は一人でせっせと家の掃除をしていた。
何もすることがないとどうしようもない堂々巡りの思考をしてしまうのは何故なんだろうか。
そして掃除機を部屋全体にかけながら、ぼんやりと考えていた。
家族の話について近衛君に言えなかった理由は、私の複雑な家庭環境や育つ過程にある。
まず、私には両親がいない。
何故かというと、蒸発したからだ。
私はもともとできちゃった結婚で生まれた身らしく(嫌味な親戚から聞かされた)、両親は秒で離婚しどこかへ行ってしまったそうな。
それからロクに連絡も取れず、行方も分からずじまい。
物心つく頃には親戚の間をたらい回しにされてたから両親と過ごした記憶は残っていなかった。
しかも、秒で別れた両親は駆け落ち同然の結婚をしたため両側の親戚から大変に顰蹙を買っていた。
おかげで、かえるの子はかえる、というように娘の私まで目の敵に嫌われてしまったのだ。
娘ってだけで嫌われるなんて理不尽すぎる。