本の虫は恋煩う。
「“星のお姫様”は結構読みやすいよ」
表紙を見せると、2人は別々の反応を見せる。
「“星のお姫様”…?
というか表紙可愛いね」
野山さんは表紙の絵に惹かれたらしい。
「“星のお姫様”は見かけたことはあったけど読んだこと無いな」
近衛君は興味深そうに本を眺める。
「うん、外国の人が書いたものを翻訳したものだけど、すごく良い話なんだよ」
表紙を撫でながらそう言うと、2人は揃って“へー”と声を漏らした。
ふふ、幼馴染みは癖とかが似るって本当なんだな。
「そうなんだ。
でも、読みやすいって言ってたけど、それ結構分厚いよね?」
「絵本みたいな流れだから、読んでたらそうでもないよ」
暫く熱心にオススメしていたら、野山さんは「読んでみる」と星のお姫様を受け取ってくれた。
この本の良さは読んでみると分かるはずだ。
大切なものは目に見えないこと。
誰かを愛すことの尊さ。
傷つけられても出会いたいと思う気持ち。
子供の頃の気持ちを忘れないでいること。
そのどれもが読んでこそ痛感するものだから。
本は私達に沢山のことを教えて導いてくれる先生そのものなのだ。