ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼
「ラーララー……」

 私が歌うと上手上手って喜んでくれるおばあちゃんもこないだ死んじゃって、いま私の歌を聞いてくれる人は私だけ。

 クラスメイトの男の子に〝気持ち悪い〟って笑われても、お母さんに〝どうしてこうなったの〟って泣かれても。
 このギターさえあれば、息ができた。

「ラー、ララー……」

 歌い終わると、あまりの気持ちよさにハイになった心臓がドクドクと高鳴った。
 また一粒、涙がこぼれ落ちる。

 ……私は今日、息をする場所を求めて軽音部のオーディションを受けたはずだった。

 不甲斐なくて、悔しくて、やっぱり駄目な自分に絶望する。
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