ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼
SOOTは某動画サイトで活躍するシンガーソングライターだ。
2年ほど前、小学生とは思えないクオリティの曲をアップして話題になり、投稿するたび名前がトップに躍り出るようになるとその名前は一気に全国区になった。
きっと私たちの世代で『SOOT』と聞いて知らない人はほとんどいない。
そのSOOTがこの学校にいるらしいという噂は耳にしていたけれど、まさかそれが彼のことだったなんて……!
ってことは私、SOOTに誘われたの…!?
とうとう目の前まで来たSOOTこと篠井奏太くんは、相変わらず動けないでいる私にチッと小さく舌打ちをした。
「いるなら返事しろよお前。帰るぞ」
「えっ」
か、帰るって、私と……!?
篠井くんが困惑する私の腕を掴んで強引に立ち上がらせると、山岸くんが慌てて声をかける。
「篠井くん!」
「あ?」
「俺軽音部でベースやってる山岸って言うんだけど! 篠井くんが審査員席にいた全小のバンフェスで入賞したことあるんだ!」
「へー」
篠井くんは興味なさそうに相槌を打って私の鞄を持つ。
2年ほど前、小学生とは思えないクオリティの曲をアップして話題になり、投稿するたび名前がトップに躍り出るようになるとその名前は一気に全国区になった。
きっと私たちの世代で『SOOT』と聞いて知らない人はほとんどいない。
そのSOOTがこの学校にいるらしいという噂は耳にしていたけれど、まさかそれが彼のことだったなんて……!
ってことは私、SOOTに誘われたの…!?
とうとう目の前まで来たSOOTこと篠井奏太くんは、相変わらず動けないでいる私にチッと小さく舌打ちをした。
「いるなら返事しろよお前。帰るぞ」
「えっ」
か、帰るって、私と……!?
篠井くんが困惑する私の腕を掴んで強引に立ち上がらせると、山岸くんが慌てて声をかける。
「篠井くん!」
「あ?」
「俺軽音部でベースやってる山岸って言うんだけど! 篠井くんが審査員席にいた全小のバンフェスで入賞したことあるんだ!」
「へー」
篠井くんは興味なさそうに相槌を打って私の鞄を持つ。