ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼
「どうしてあなたってそうなの……?いい加減にしてよ、何回お母さんの気持ちを引っ掻き回したら気が済むわけ?お母さんがギター嫌いなの、知ってるでしょう。お母さんを怒らせたいの?」

 お母さんが泣きそうな声で言って、胸が締め付けられる。

「……ごめん……なさい……」

 お母さんを怒らせたいわけない。 ましてや泣かせたいわけない。
 ただ必死に毎日生きているだけだ。
 それなのに、いつもお母さんを苦しめてしまう。
 私がこんなだから、お母さんが……


 ――すげぇかっこいいっつってんの


 なぜか突然、篠井くんの顔が頭に浮かんだ。
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