ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼
青天の霹靂
 学校終わり、16時。 河川敷の土手は、今日も空がきれいだ。
 その景色を見ながら私は、やっぱり傷だらけのギターでDadd9を鳴らしていた。
 お祭りの日から三日。
 私の日常は、ふりだしに戻った。
 
「♪ー……♫」

 空相手ならこんなスムーズに歌えるのに……どうして人前に出るだけで歌えなくなるんだろう。
 一曲弾き終わって、ふぅ、と息をついてから篠井くんの曲を弾く。

「♪~……」

 お祭り以来、篠井くんとは会ってない。
 帰り際篠井くんは気にすんなって言ってくれたけど……あんな失敗しちゃったし、またライブしようとは思わないよね。
 ……このまま解散になるのかな。

「♪……――っ」

 ……だめだ、泣きそう。


「あの……!」

 すぐ後ろから女の子の声がして、手を止める。
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