ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼

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　それからの1週間は、それこそ夢を見てるみたいだった。
　学校で動画見たよって声を掛けられるようになった。クラスの女の子が笑顔で話しかけてくるようになった。皆が皆手のひらを返したわけじゃないけど、少なくとも私に聞こえるような声で陰口を言ったりされることはなくなって、平和な毎日になった。
　軽音部の人たちも敵意こそ向けてくるけど、分かりやすく揶揄ってくることはなくなった。

　そんな1週間を過ごして、今日。文化祭当日の朝が来た。
　
　いつもより早く目を覚ました私は、軽音部オーディションや、お祭りの特設ステージから見た光景を思い出す。
　喉がキュッとしまって、息ができなくなるあの感覚。
　もしまた歌えなかったら……そう思うと恐怖で体が震えた。
　ううん。大丈夫。私にはお父さんのギターがあるし、篠井くんもいる。