ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼
 ベッドから起きて制服に着替え、リビングに向かった。
 すると、食卓テーブルにお母さんの姿を見つけた。お昼から仕事するお母さんがこの時間に起きてるなんて珍しい。
 なにやらテーブルで横にして置いたスマホをじっと見ている。
 なにをそんな真剣に見ているんだろう…?
 近付くにつれ、そのスマホから音楽が聞こえてくる。

「……!」
 
 私たちの動画だ。

 私はその場に凍り付いた。 お母さんはそんな私に構うことなく、ひたすらスマホを見続けている。その空気が怒ってるようにも、悲しんでるようにも見えた。

「っ、おか、お母さん、ご、めんなさ……」
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