ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼
 不登校になったのは小学校四年生のとき、このくるくるの天パをネタにクラスの男の子にいじめられたのがきっかけだった。
 男の子に髪を引っ張られたり大声で悪口を言われ、女の子たちはみんな私を無視した。
 よくあるいじめらしいいじめは大体受けたように思う。

 いじめっ子の男の子たちとは違う中学だから、勇気を出して二年ぶりに学校という場所へ登校したはいいものの…
 この二年間ずっと家に引きこもってお母さんとおばあちゃんとしか話していなかった私が、クラスメイトとまともに話せるはずもなく。
 結局教室では変な子扱い、まだそれらしいイジメが始まってないことが不幸中の幸いだ。

 このままいくと、きっと中学でも小学校の時の繰り返しになる。

 
 どんどん溢れてきてしまう涙はそのままに、私は赤く染まり始めた空に震える息を吐いた。

 全部自分が悪いんだってわかってる。
 意気地なしで、言い返す勇気もない弱い自分が悪い。
 だからこんな風に泣く資格だって、ない。

 私は目をゴシゴシとこすって涙を拭き、ギターケースからギターを取り出した。

 この真っ黒で傷だらけのちょっと渋いアコースティックギターは、お父さんの形見だ。
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