人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
「まあ、お似合いな格好で〜!」

「素敵ですわ〜!」

三人は散々ヴァイオレットとミモザを馬鹿にした後、中庭へと行ってしまう。その様子を見てヴァイオレットは気付いてしまった。椅子が汚れているというのは嘘で、ただヴァイオレットとミモザを馬鹿にしてお茶会での話題を作りたかっただけなのだと。

「一生こんな生活なんだって思うと、こんな人生すぐに投げ出したくなるよね」

泣くのを必死に堪えているような顔のミモザを見て、ヴァイオレットの胸がただ苦しくなる。一生懸命働いていても、一ミリもそれが報われることがない。

中庭から聞こえてくる楽しそうな声が、ただ二人の中にある虚しさをさらに増幅させていった。



その後も仕事を二人はこなし、夜の九時過ぎにようやく夕食を食べることが許され、メイド服から使い古したネグリジェに着替え、冷たい水で濡らしたタオルで体を拭き、束の間の自由の時間が訪れる。

「ハァ〜……。今日も疲れたね!」

ベッドの上にゴロリとミモザは寝転がり、ぼんやりと天井を見上げる。ヴァイオレットも「そうね」と返し、ベッドに腰掛けてベッドの上に置かれた本を手に取った。
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