人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「そんなこと言わないでください。イヴァン様は、私やアイリスやリオンに平等に接してくれています。それだけで私は、私たちは、とても幸せなんです」

「平等に接するのは当たり前だよ。君は僕の妻で、あの二人はこの屋敷で働いてくれているんだから。……僕が君にしたのは、今着ているドレスを買ってあげただけだ」

「充分です。このドレスはとても綺麗ですし、本がたくさんあって、イヴァン様やアイリスやリオンと穏やかに過ごせる。それだけで充分です」

ヴァイオレットは気が付けば顔を上げていた。真っ直ぐにイヴァンを見つめ、素直に心の内側を晒す。イヴァンの青い瞳が揺れた。

「……ヴァイオレット、ありがとう」

再び視線が絡み合う。またヴァイオレットの胸の中が温かくなり、幸せを何故か感じていく。その時だった。

「イヴァン様！ヴァイオレット様！」

扉が勢いよく開く。乱暴に開けられた扉の先には、リオンとアイリスが立っていた。二人は肩を大きく上下に動かし、息を荒くしている。

「リオン、アイリス、どうしたんだい？」