人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
イヴァンが訊ねると、リオンが顔を真っ青にしながら叫ぶように言う。

「ド、ドラゴンが！！シャーデンフロイデが現れました！！」

「民家が次々と被害を受けています！！」

アイリスも手を震わせながら言い、イヴァンとヴァイオレットは顔を見合わせ、ソファから立ち上がる。

「行こう！！」

イヴァンに声をかけられ、ヴァイオレットは頷く。昨日も王都の街を破壊したばかりだというのに、シャーデンフロイデはウィロウ地方の民家を襲っている。その凶暴性にヴァイオレットの背筋にゾッと寒気が走った。



屋敷の外に二人が出ると、空には黒煙がいくつも上がっていた。その中を昨日王都で見たシャーデンフロイデが飛んでいる。

「甚大な被害が、この黒煙の数から予想できます」

ヴァイオレットは声を震わせながら言う。温かな思い出が詰まっているはずの家々が一瞬にして燃やされ、壊されていく。家族と共に暮らす家に必要のない感情が植え付けられていく。それが、ヴァイオレットにとって苦しかった。

「被害を食い止める！」

イヴァンはそう真剣な顔で言い、ヴァイオレットを連れて民家がある場所まで瞬間移動する。近くまで来ると、その被害はヴァイオレットの目に嫌でも焼き付けられた。
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