人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
イヴァンが悔しげに言った刹那、それまで上空を飛んでいたシャーデンフロイデが一気に急降下を始める。その先にはイヴァンがいた。イヴァンに頭から突っ込むつもりなのだろう。

「イヴァン様!!」

ヴァイオレットは顔を真っ青にし、イヴァンの元へと走る。このままではイヴァンはシャーデンフロイデと激突し、危険だ。巨大なドラゴンとぶつかるなど、大怪我どころの話ではない。

「ヴァイオレット、僕は大丈夫。みんなの避難を頼む」

ヴァイオレットに気付き、イヴァンがこちらを見て安心させるように微笑む。刹那、イヴァンの体は巨大な青い光に包まれた。まるで、青空の中にイヴァンが閉じ込められているようにヴァイオレットは思えた。

(綺麗……)

ヴァイオレットがそう感じた刹那、シャーデンフロイデがイヴァンに突っ込んでいく。ぶつかってしまう、と思わずヴァイオレットは反射的に目を閉じてしまったのだが、何の衝撃音もしない。

ヴァイオレットが恐る恐る目を開けてみると、シャーデンフロイデが必死に鋭い爪や牙を使ってイヴァンに攻撃しようとしていた。しかし、イヴァンを包む青い光がそれを弾いていく。
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