人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「えっ、ヴァイオレット何かしたの？」

ミモザが飛び起き、戸惑うヴァイオレットに驚いた様子で訊ねる。だが、ヴァイオレットは「わからないわ」としか答えられなかった。ランカスター家の主人であるチャールズに呼び出される理由が、ヴァイオレットは思い当たることがない。

「何かを壊した覚えはないし、部屋の掃除や洗濯もきちんとできていたはずよ」

ヴァイオレットがそうミモザに言うと、ドアの前で立っていたアザミが落ち着きなく足で地面を何度も叩き、怒鳴るように言う。

「ヴァイオレット・カッシング！ミモザ・ワトソンとのお喋りは後になさい！さっさと着替えて行くこと！よろしいですね！？」

「は、はい！」

アザミが部屋を出て行った後、ヴァイオレットはクローゼットからメイド服を取り出し、着替え始める。その様子をミモザが心配そうに見つめていた。その視線に気付き、ヴァイオレットは微笑む。

「ミモザ、大丈夫よ。私は何もしていないもの」