人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
華やかな夜へ
夜会の招待状を貰った翌日から、ヴァイオレットとイヴァンは夜会に向けて準備をすることになった。テーブルマナーや挨拶のおさらい、そしてワルツの練習が基本である。ワルツの練習は屋敷の地下にあるホールで行うこととなり、地下に部屋があったことにヴァイオレットは驚きを隠せなかった。

(一二三、二二三、三二三……)

ヴァイオレットは赤い顔をしながら心の中でステップを唱える。リオンが用意してくれた蓄音機から流れる音楽に耳を澄ませ、ステップを数えることで誤魔化そうとするものの、嫌でも心臓の鼓動は早まっていく。

チラリとヴァイオレットが顔を上げれば、そこにはイヴァンの顔がある。腰に腕を回されているため、距離が近い。

(王都で手を繋いだ時よりも、ずっと近いわ!これはまるであの時みたいで……)

ヴァイオレットの脳裏に浮かんだのは、イヴァンの相手をしようと思ったあの夜の光景である。一気に恥ずかしさが込み上げ、ヴァイオレットはイヴァンから顔を逸らしてしまった。
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