人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
本でしか見たことのない骨董品や調度品に、ヴァイオレットはあちこちに目を動かして見てしまう。すると、隣にいるイヴァンは驚いた顔を見せた。

「ヴァイオレット、君は骨董品や調度品のことも知っているのかい?」

「はい。本で読んだことがあるだけなので、実際に目にするのは初めてなのですが……」

「君は本当に博識だね。僕は骨董品のことがわからないから、ぜひ教えてほしい」

「はい。まずはあちらにある壺ですがーーー」

ヴァイオレットは嬉々として飾られている壺などのことを話していく。自分の持っている知識に興味を持ってもらえる、そのことがこれほど嬉しいことなのだとヴァイオレットは初めて知った。

「なるほど……。そんなメッセージが込められているのか」

「はい。激動の時代の中作られた作品です。この絵を見ていると、当時の人々の叫びが聞こえてくるような気がします」

骨董品や調度品、絵画の前でヴァイオレットとイヴァンは立ち止まり、ヴァイオレットが一つずつ説明をしていく。王宮にやって来た人々は全員さっさと夜会が開かれるホールへ行ってしまうため、廊下にいるのはヴァイオレットとイヴァンだけになってしまう。

「色々教えてくれてありがとう。勉強になったよ」
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