人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「サクラ様、そんな顔をしないでください。そのドレスも髪飾りも、よく似合っています。ドレスに刺繍された花のように可愛らしいです」

ヴァイオレットは自分の心にストンと落ちてきた感想を口にする。サクラの頰が赤く染まり、数秒後「ありがとうございます、ヴァイオレット様」とリップグロスが塗られた唇が動く。

「私は東洋の出身なので、このようなドレスは似合わないとずっと思っておりました。ですがヴァイオレット様の言葉で自信が湧きました。もう下は向きません」

サクラがニコリと微笑むと、ホールにいた数人の男性の頰が赤く染まる。その反応を見てヴァイオレットも微笑み返した。そしてイヴァンとオリバーもサクラを褒める。

「サクラ、ヴァイオレット様の言う通りだ。前を向いておけ。フェリシアーノが選んだなら間違いなくお前に似合うドレスということだ」とオリバー。

「まさかあのフェリシアーノがドレスを贈っているとは思いもしなかったけど、素敵だと思う。ドレスも、髪も、何だか別人みたいだ。もちろんいい意味で！」とイヴァン。

二人に褒められ、サクラの顔はますます赤くなっていく。頭からは今にも湯気が出てしまいそうなほどだ。そんな様子をヴァイオレットが微笑みながら見守っていると、ふと視線の端にメイド服を着た使用人の姿が映った。

（えっ？彼女がどうしてここに！？）