人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

イヴァンも頭を下げる。イヴァンは何も侮辱されていない。イザベルから酷い扱いを受けたことは当然一度もない。しかし今、彼はヴァイオレットのことで自分のことのように怒っている。

（こんな私のために、イヴァン様は……）

ヴァイオレットの胸の中から不安が消え、温かいもので満たされていく。少しずつ目の前がぼやけていき、やがてそれは美しい雫となってヴァイオレットの雪のように白い頰の上を伝う。

「イヴァン様、ありがとうございます」

ヴァイオレットは泣きながらお礼を口にする。涙を止めようと思っても、涙は次々と溢れ、止められなかった。

「ヴァイオレット、泣かないでくれ。僕は君の笑った顔が見たい。君の悲しそうな顔、苦しそうな顔を見るだけで、僕の胸は苦しくなってくる。泣かないでくれ」

イヴァンは困ったように言うものの、ヴァイオレットは泣くことをやめることはできなかった。イヴァンの言葉にさらに嬉しさが込み上げ、溢れていく。

「……抱き締めても、いいだろうか？」

その言葉にヴァイオレットは泣きながら頷く。一瞬にしてヴァイオレットの体はイヴァンの腕の中に閉じ込められた。