人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
「ビアンカ・マグノリア嬢」

「キャサリン・アングレカム嬢」

「デイジー・シャルパンティエ嬢」

「エラ・イキシア嬢」

「フローラ・コリウス嬢」

「ガブリエラ・カモミール嬢」

「ハリエット・サルビア嬢」

次々と魔法家系のご令嬢の名前が呼ばれ、女性たちは期待をしながらフェリシアーノの前へと向かう。しかしーーー。

「あいつ、いつもと違うな」

フェリシアーノの様子を見ていたオリバーが言う。その言葉にイヴァンとサクラも頷いた。二人は戸惑っているように見える。

「フェリシアーノ様も緊張されているのではありませんか?今夜、自分の運命の相手と巡り会うかもしれませんし」

ヴァイオレットはそう言ったものの、イヴァンが「あの顔はそんなんじゃないよ」と言う。ヴァイオレットの目には、フェリシアーノはいつものように笑みを浮かべているように見えた。

(学生時代から関わりがあるから、見方が違うのね)

ヴァイオレットの視界の端にメイド服が映る。ピントを合わせれば、そこではミモザが忙しそうに働いていた。ミモザとはランカスターの屋敷にいた頃から共に仕事をしてきた。ヴァイオレットの唯一無二の親友である。

(ミモザが今、どんな感情を持って王宮で仕事をしているのか、きっとこれがわかるのは私だけだわ。イヴァン様にも、イザベル様やチャールズ様だって気付けない)
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