人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
「ジャスミン・ハンター嬢」

「カレン・アカンサス嬢」

「リリー・スプリンガー嬢」

「マーガレット・ロックハート嬢」

「ノエル・イベリス嬢」

次々とご令嬢の名前が呼ばれ、着飾った美しい女性たちは期待を胸にフェリシアーノのところへ行く。しかし、フェリシアーノは一向に玉座から動く気配がなく、大臣はどこか焦っているように見えた。

「……好みのタイプがいないのか?このまま誰も選ばなかったら、国王陛下は怒るどころじゃないだろうな」

オリバーが心配そうにフェリシアーノを見つめる。次期国王に王妃は必要不可欠な存在だ。一体この国の第一王子は誰を花嫁に選ぶのか。期待がさらに集中していく。

「フェリシアーノ……」

サクラも心配そうな顔をしていた。ヴァイオレットが隣を見れば、サクラの手は微かに震えている。ヴァイオレットは迷わずその手を優しく取った。

「サクラ様、不安にならずともフェリシアーノ様はきっと素敵な方をお選びになります。信じましょう」

「はい……」

ヴァイオレットが微笑みながらそう言うと、サクラはまだ不安そうな顔をしながらも頷く。その様子を複雑そうな顔でイヴァンは見つめていた。
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