人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
「フェリシアーノ様、彼女はあなたの側近でしょう？何故彼女を選ぶんですか？」

「……僕が一緒に踊りたいと思ったのは彼女だよ。そこに側近だとかご令嬢だとかそんなの関係ない」

「私、あなたのお役に立てたらとうちで働かせているメイドを連れて来て働かせているのですよ？なのに他の女を選ぶなんて……！」

「ああ、名前は確かミモザだっけ？彼女は働き者でとても助かってるよ。王宮のメイドたちも彼女のことを褒めてる。でも役に立っているのはミモザであって君じゃないでしょ？君自身が役に立ってからそういうことは言ってくれないかな？」

フェリシアーノに淡々と言われ、イザベルの顔から表情が消える。呆然とするイザベルを気にすることなくフェリシアーノはサクラの手を引き、音楽隊に演奏を再開するよう言った。

「イヴァン様！！」

イザベルはまた大声を上げた。そして今度はイヴァンの方へと駆けてくる。ビクリとヴァイオレットが肩を震わせ、イヴァンがヴァイオレットを隠すように彼女の前に立った。

「イヴァン様、私と結婚しましょう」

突然の言葉にホール内が騒めく。イヴァンが「は？」と呟くと、イザベルはイヴァンの背後から様子を窺っているヴァイオレットを指差し、言った。

「本来なら、あなたとの婚姻の話は私に来たものです。それをただの使用人であったこの女が横取りしたのよ！！」

「横取りだなんて……！「事情を抱えたイヴァン様に嫁ぐのは嫌だ」とイザベル様が仰ったのですよ。そのような言い方はやめてください」

ヴァイオレットは思わず反論する。するとすぐにイザベルは「黙りなさい！！非魔法家系が偉そうなことを言うな！！」と怒鳴り付け、ヴァイオレットの正体を知らなかった貴族たちの騒めきが大きくなる。
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