人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「ヴァイオレット様、イヴァン様の言う通りですよ。少し休憩を取ってください。紅茶は冷めてしまうとおいしさがなくなってしまいます」

リオンは紅茶とクッキーをテーブルの上に置く。ふわりと紅茶の香りがヴァイオレットの鼻腔に入り込み、イザベルとの勝負のことで張り詰めていた心が少し解れたような気がした。

「ありがとう、リオン。ほらヴァイオレット」

イヴァンはリオンにお礼を言うと、ヴァイオレットに紅茶の入ったティーカップを渡す。ヴァイオレットがティーカップを受け取ると、イヴァンは自分の分の紅茶をカップに入れ、口をつけて「おいしい」と口にする。ヴァイオレットもティーカップに口をつけた。

「……おいしい。リオン、ありがとう」

「いえいえ。クッキーもおいしくできたので、召し上がってくださいね」

ヴァイオレットがお礼を言うと、リオンはニコリと笑って部屋を出て行く。その姿を見送った後、ヴァイオレットはクッキーに手を伸ばす。クッキーの味は二種類用意されており、一つはバター味、もう一つはチョコレートだ。

「おいしい」