人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「アルストロメリアの王都にいるのは、その多くが非魔法家系です。非魔法家系の人たちは魔法が使えない代わりに、それぞれがお店を開き、暮らしています。そこで売られている商品は、どれも素晴らしいものです。みんな一生懸命生きているんです！先ほどの言葉を撤回してください！」

「黙れ！！非魔法家系のくせに！！私がいなかったらずっと汚い服しか着られなかったくせに！！」

イザベルがヴァイオレットの声をかき消すように大声を出すと、ヴァイオレットの着ているドレスがビリビリと音を立てて破れていく。

「きゃあッ！！」

ヴァイオレットが悲鳴を上げてしまうと、今度は宙に体が浮いた。数メートルほどの高さまで持ち上げられ、突然のことにヴァイオレットの頭を恐怖が支配する。

（こんなに高いところから地面に叩き付けられたら、今度は怪我どころじゃ済まないわ！）

イヴァンの笑顔が、リオンとアイリスの顔が、ミモザの顔が、ヴァイオレットの脳裏に浮かぶ。彼女は帰りたいと切に願った。あの温かい場所へ帰りたいと強く思った。

「イザベル様、降ろしてください！」