人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
刹那、イヴァンの背中に翼が生える。クリスタルのような透明な翼だ。その翼が大きく動き、ヴァイオレットを抱き締めたイヴァンの体は上昇していく。

「ヴァイオレット!!」

岸にヴァイオレットを寝かせた後、イヴァンは彼女の体に触れる。息をしていないことに気付き、イヴァンはヴァイオレットの胸を力強く押していく。

「ヴァイオレット!!ヴァイオレット!!お願いだ!!戻ってきてくれ!!ヴァイオレット!!」

何度も強く胸を押し、ヴァイオレットの名を呼び続ける。イヴァンとヴァイオレットを心配してか、妖精が次々に姿を見せ、二人を見守った。

「ヴァイオレット!!ヴァイオレット!!」

イヴァンの目の前がぼやけていく。ヴァイオレットの青白い肌に、イヴァンの瞳から溢れた涙が落ちていく。

「ヴァイオレット!!ヴァイオレット!!」

何度その名を呼んだだろうか。ヴァイオレットの瞳がピクリと動き、イヴァンは胸を押す手を止める。ヴァイオレットは口から水を吐き出し、咳き込み始めた。

「ヴァイオレット……!!」
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