人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
イヴァンは涙を流しながらヴァイオレットを見つめる。ヴァイオレットの瞳がゆっくりと開いた。紫の瞳と青い瞳が絡み合う。

「イ、ヴァン、様?」

ヴァイオレットが名前を呼ぶ。イヴァンの目からさらに涙が溢れ、気が付けばイヴァンはヴァイオレットを強く抱き締めていた。

「ヴァイオレット、よかった……」

イヴァンの涙がヴァイオレットを濡らしていく。ヴァイオレットは幸せそうに微笑み、ゆっくりと目を閉じた。



「ううっ……」

全身を襲う痛みと怠さにヴァイオレットは目を覚ます。そこはイザベルに連れて行かれた湖ではなく、イヴァンの屋敷にある自分の部屋だった。ボロボロにされたドレスはネグリジェに着替えさせられ、水に濡れた体も拭かれている。

「ヴァイオレット!気が付いた?」

ヴァイオレットに近くにいたアイリスが駆け寄る。ヴァイオレットが起き上がろうとすると、アイリスがその肩を押す。

「動いたらダメ。あんた今、高熱出してるんだよ?屋敷にイヴァン様が帰って来た時、二人ともびしょ濡れだし、ヴァイオレットのドレスはボロボロになってるし、一体何があったの?」

アイリスが困惑した様子で訊ねる中、部屋の扉が開いた。
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