人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
シャーデンフロイデがまた姿を見せたのなら、何かわかることがあるのかもしれない。しかし、シャーデンフロイデはウィロウ地方で暴れ回った後、姿を見せていない。

「一体、何について調べたらいいんでしょうか?」

答えが返ってくることはないとわかっていても、ヴァイオレットは焦りから訊ねてしまう。イヴァンの隣にいられなくなってしまう。イザベルにこの居場所を奪われてしまう。焦りがただ募っていく。

その時だった。ヴァイオレットの目の前を宝石のように美しい何かが煌めきながら落ちていく。それは、雪の結晶だった。

「雪?」

今の季節は冬ではない。雪が降るはずがないのだが、ヴァイオレットとイヴァンの真上から美しい結晶は降り注いでいく。

「どうして結晶が見えるのでしょうか?」

雪の結晶は図鑑で目にしたことがある。しかし、雪の結晶はその美しさを肉眼では目にすることができないはずだ。

ヴァイオレットは目の前を舞い落ちる結晶に触れようと手を伸ばす。しかし、その手は結晶に触れることはできなかった。雪の結晶たちはヴァイオレットの手をすり抜けていく。

「えっ?」
< 206 / 224 >

この作品をシェア

pagetop