人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
ヴァイオレットがそう思いながらイヴァンを見ていると、彼は口角を上げてヴァイオレットの肩にそっと触れる。

「今日はいい天気だし、庭で紅茶を飲みながらゆっくり話そう」

そう言われ、ヴァイオレットは中庭へと連れて行かれた。



ブルースター家の屋敷の中庭は、ランカスターの屋敷にある中庭よりも二倍は広い。手入れされた庭には、薔薇の花がいくつも咲いている。

その中にテーブルと椅子が置かれ、テーブルの上にはティーポットに入った紅茶やティーカップ、そしてたくさんのスイーツが並べられている。スイーツを目にした瞬間、ヴァイオレットの目が煌めいた。

(わぁ、素敵なスイーツ!)

ランカスター家でメイドをしていた頃、イザベルのお茶の時間にコックがスイーツを用意しているのを目にすることはあったものの、ヴァイオレットがスイーツを食べることは当然ながら一度もなかった。

「イザベル様、こちらにお掛けください」

金髪にエメラルドのような緑の目をし、黒いスーツを着た執事がニコリと微笑み、椅子を引く。イヴァンがすぐに誰なのかを教えてくれた。

「執事のリオン・カランコエだよ」

「以外、お見知りおきください」
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