人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
ヴァイオレットは慌てて布団の中から起き上がる。ベッドの脇には、すでにロング丈のメイド服に着替えたミモザが立っていた。その手にはどこから拾ってきたのか木の棒が握られており、あのまま起きなかったら自分がどうなっていたのか、想像するだけでヴァイオレットは恐ろしく感じてしまう。

「やっと起きた。この寝坊助!さっさと支度しなよ!」

チョコレートブラウンのショートカットの髪をいじり、猫のような目はヴァイオレットを呆れたように見ている。

「ごめんなさい。すぐに支度するわ」

七畳ほどの決して広いとは言えない部屋には、ベッド二つと共同で使うための小さなクローゼットと鏡台しか置かれていない。この部屋を、十三歳の頃からヴァイオレットはミモザと使っている。

クローゼットからメイド服を取り出し着替えをするヴァイオレットにミモザが声をかけた。

「起きれなかったのって、これを遅くまで読んでたから?」
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