人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
ヴァイオレットが話したのは、病気になってしまった母のために彼女が大好きな薔薇の花を見せてあげようとする青年の話だった。シャムロック国の伝説をまとめた本に載っていた話の一つである。
「ーーーそして、青年は咲かせた虹色の薔薇の花を母に見せました。母は「こんなに美しい薔薇は見たことがない!」と涙を流して喜び、数日後に息を引き取りました。しかし不思議なことに、虹色の薔薇はいつまでも枯れることがなかったのです。青年はその薔薇を庭に植えました。すると、薔薇は一輪また一輪と増えていき、庭は薔薇の花畑になっていったのです」
ヴァイオレットが話し終えると、「不思議な話ですね」とリオンが呟く。お茶会の空気はすっかり軽くなっていた。ジッと聴き入っていたアイリスが、「質問いいですか?」と緊張したように手を挙げる。
「構いませんよ、アイリスさん」
ヴァイオレットがそうニコリと微笑んで返すと、アイリスは安心したように笑みを浮かべ、口を開く。
「そのお話は、イザベル様が考えたお話なのですか?」
「いいえ。私は物語を読むのは好きですが、自分で想像して作り出すことはできません。なので私は、素晴らしい本を生み出してくれる方々に尊敬を抱いています」
ヴァイオレットは、新しい本の表紙をめくった時の高揚感を思い出しながらそう口にする。どの本も、物語も、誰かの想いが詰まってできているのだ。
「ーーーそして、青年は咲かせた虹色の薔薇の花を母に見せました。母は「こんなに美しい薔薇は見たことがない!」と涙を流して喜び、数日後に息を引き取りました。しかし不思議なことに、虹色の薔薇はいつまでも枯れることがなかったのです。青年はその薔薇を庭に植えました。すると、薔薇は一輪また一輪と増えていき、庭は薔薇の花畑になっていったのです」
ヴァイオレットが話し終えると、「不思議な話ですね」とリオンが呟く。お茶会の空気はすっかり軽くなっていた。ジッと聴き入っていたアイリスが、「質問いいですか?」と緊張したように手を挙げる。
「構いませんよ、アイリスさん」
ヴァイオレットがそうニコリと微笑んで返すと、アイリスは安心したように笑みを浮かべ、口を開く。
「そのお話は、イザベル様が考えたお話なのですか?」
「いいえ。私は物語を読むのは好きですが、自分で想像して作り出すことはできません。なので私は、素晴らしい本を生み出してくれる方々に尊敬を抱いています」
ヴァイオレットは、新しい本の表紙をめくった時の高揚感を思い出しながらそう口にする。どの本も、物語も、誰かの想いが詰まってできているのだ。