人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
(これからイヴァン様はどこを触るつもりなの……)

家庭教師に教えられているとはいえ、不安はどんどん大きくなっていく。そして風船のように大きく膨らみ、耐え切れなくなった不安は爆発し、それは雫となってヴァイオレットの頰を伝う。

「ヴァイオレット……」

目を閉じていたヴァイオレットはイヴァンに声をかけられ、目をゆっくりと開ける。イヴァンの長い指が頰に触れ、その時に初めてヴァイオレットは自分が涙を流していることに気付いた。

「覚悟なんてできてないじゃないか」

「申し訳ありません」

苦笑するイヴァンに対し、ヴァイオレットは謝る。妻としての役目を怖がってはいけないと散々教えられてきたというのに、怖がってイヴァンを困らせてしまっている。

「偽りでも私はイヴァン様の妻なのに、申し訳ありません」

何度もヴァイオレットは謝る。そんなヴァイオレットの体の上で、イヴァンは人差し指をそっと横に動かした。するとはだけていたはずのヴァイオレットのネグリジェは元に戻され、体はベッドから起こされてしまう。

イヴァンはベッドから離れ、部屋のドアを開けた。
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