人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
ヴァイオレットが初めてフェリシアーノと出会ってから数日、時折りフェリシアーノはイヴァンに会うため屋敷を訪れては、応接室で話をしている。だが、それは仕事の重要な話などではなく、フェリシアーノの最近あった出来事などを主に話している。
「フェリシアーノ、また仕事をサボったんだね。二人に怒られても知らないよ」
「別にいいよ。いっつも城に篭りっぱなしだと頭がおかしくなるし、リフレッシュは大事でしょ?」
「リフレッシュって……。ここ最近の君は、誰がどう見てもサボっているようにしか見えないよ」
「サボりで結構!」
そんな楽しげな会話が聞こえてくるたびに、ヴァイオレットの胸の中はモヤモヤとした不可解な感情に支配されてしまう。その感情が何なのか、ヴァイオレットにはわからない。ただ、偽りとはいえ、妻としての最低限の役割を果たすまでだ。
「フェリシアーノ様、ようこそいらっしゃいました」
ヴァイオレットがそうカーテシーをしながら言った後、イヴァンが「ヴァイオレット、僕の隣に座りなさい」と声をかける。イヴァンを見て、フェリシアーノは満足げな表情をしていた。