人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
フェリシアーノがそう言うと、先ほどまでヴァイオレットの目の前にいた二人の姿は消えてしまう。瞬間移動を行う魔法なのだろう。二人は一瞬にして応接室から中庭へ移動していた。窓ガラスの向こうに、何やら話をするイヴァンとフェリシアーノの姿がヴァイオレットの目に映る。

「何を話しているのかしら……」

フェリシアーノは呆れた様子で何かを言い、イヴァンはただ真っ赤な顔をして恥ずかしがっているように見える。その時だった。

地面に魔法陣が浮かぶ。しかし、フェリシアーノもイヴァンも魔法を使っていない。何事かとヴァイオレットが驚いて魔法陣を見つめていると、魔法陣から二人の人が姿を見せる。一人は男性で一人は女性だ。二人とも真紅の軍服らしき格好をしており、腰には剣がある。

「フェリシアーノ!!イヴァンの家で毎日のようにサボってみんな困ってんだぞ!!」

屋敷の部屋中に聞こえてしまうのではないかと思ってしまうほど、男性はフェリシアーノを大きな声で怒鳴る。怒鳴られたフェリシアーノは先ほどまでイヴァンに真剣な顔で何かを話していたというのに、肩をビクリと動かし、涙目になりながら「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」とイヴァンの背後に素早く隠れながら言う。イヴァンは「ほら、言ったでしょ?」とすっかり呆れ顔だ。
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