人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
食事の準備が終わった後は、洗濯や掃除の時間だ。広い屋敷の洗濯や掃除は過酷な作業である。

広い屋敷から出る洗濯しなくてはならないタオル類やシーツ類の数は多く、魔法の使えないヴァイオレットたちは手洗いすることしかできないため、時間がかかる。少しでも汚れが残っていると叱られ、「これだから非魔法家系は」と嘲笑されるため、手を抜くことはできない。

そして掃除は毎日、何も置かれていない空き部屋や客人用のベッドルームも掃除しないといけない。突然客人が泊まることがあったりするためである。使わない空き部屋を掃除する意味はあるのかと屋敷で働いている人たちはみんな思っているが、ランカスター伯爵の命令のため、仕方ない。掃除も手を抜くと馬鹿にされるため、素早くかつ丁寧に行う。

「ヴァイオレット、次はどこを掃除しなきゃいけないんだっけ?」

「次は、お客様用の浴室とベッドルームね」

掃除をしていない部屋の確認をしながらヴァイオレットとミモザが掃除用具を手に持ち、渡り廊下を歩いていると「ちょっと!」と背後から声をかけられる。

「はい」

ヴァイオレットとミモザが振り返れば、三人組の女性がそこには立っていた。三人とも美しいドレスを着て、宝石の入った装飾品を身に付けている。
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