人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

（綺麗……？）

イヴァンに言われた言葉が、ヴァイオレットの頭の中で何度も再生される。恋愛小説に登場するような、フェリシアーノが言うような、甘ったるくロマンチックな言葉ではない。だが今、ヴァイオレットの心は嵐のように揺れていた。

（すごく恥ずかしい……。でも、何故か嬉しい。フェリシアーノ様に言われた時より、ずっと……）

何故か運動をした後のようにこの胸は高鳴っている。だが、何故これほど心拍数が上がっているのかはわからない。

「……ありがとうございます。イヴァン様も、皆さんも、とても似合っています。とても、とても、綺麗です」

ヴァイオレットがそう言うと、サクラとオリバーが「ありがとうございます、ヴァイオレット様」と微笑む。イヴァンはただ顔を真っ赤にしたまま口を閉ざし、フェリシアーノがニヤニヤしながら「よかったね」とイヴァンに言う。

「よし！全員の変装も完了したことだし、そろそろ行こう！」

フェリシアーノがそう言い、「プラーツ！」と呪文を唱える。すると足元に魔法陣が広がった。瞬間移動の魔法である。この魔法で王都まで行くのだろう。