人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
「ヴァイオレット、手を」

イヴァンが手を差し出す。ヴァイオレットは緊張を覚えながらその手を取る。自分より一回り大きなその手に触れるのは、結婚式の時以来だ。

ヴァイオレットと手を繋いだイヴァンは、もう片方の手をフェリシアーノと繋ぐ。サクラはオリバーと手を繋ぎ、もう片方の手をフェリシアーノと繋いだ。

全員が手を繋いだことを確認したフェリシアーノは、「王都・シエンナへ!」と言う。魔法陣が光を放っていく。刹那。

「きゃあッ!」

ヴァイオレットの体に、まるで捻れるような感覚が走った。痛みはないものの、どこか気持ち悪い。ヴァイオレットは無意識に目を閉じ、イヴァンの手を強く掴んでしまっていた。

「ヴァイオレット、着いたよ」

気持ち悪い感覚が消えた後、イヴァンが声をかけてくる。その声にヴァイオレットがゆっくりと目を開けると、そこはウィロウ地方の屋敷ではなく、様々な建物が立ち並ぶ賑やかな王都だった。ヴァイオレットたちは人通りの少ない裏通りに瞬間移動したようだ。賑やかな声が近くから聞こえてくる。
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