人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

プレゼント

「イヴァン様？イヴァン様？どちらへ行かれるのですか？オリバー様のところへ戻りましょう？」

イヴァンに手を引っ張られ、ヴァイオレットは無理やり歩かされていた。ヴァイオレットが声をかけるものの、イヴァンは何も言わずに歩いて行く。

「イヴァン様……」

怒らせてしまったのでは、とヴァイオレットは不安になってしまう。イヴァンに「偽りの妻なんてやっぱりいらない。シャムロック国に帰ってくれ」と言われることを想像してしまい、ヴァイオレットの胸が不安と緊張で痛みを発していく。ただ、この沈黙が苦しかった。

「……どうして」

イヴァンが足を止め、言葉を発する。ヴァイオレットは一言一句聴き逃すまいと、耳に意識を集中させた。鼓動が早まっていく。

「ヴァイオレット、君はどうしてわがままを一つも言わないんだ？」

「えっ？」

予想と違う言葉にヴァイオレットが聞き返すと、イヴァンがゆっくりと振り返る。どこか困ったような顔をする彼の唇が動いた。