人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜
女性はニヤニヤと笑う。ヴァイオレットは唇を噛み締めることしかできない。

泳ぎが得意な人、歌が得意な人、料理が得意な人、走るのが得意な人と人に得意不得意があるように、魔法を使える魔法家系の人も得意な魔法と不得意な魔法がある。そして、苦手な魔法が多いほど、得意な魔法の才能はずば抜けていることが多い。

「大変申し訳ありませんでした」

ヴァイオレットは深く三人に頭を下げる。隣にいるミモザも、顔を真っ赤にしながら頭を下げていた。三人はケラケラと笑う。

「魔法が使えないくせに、私たちに反抗的な態度を取るからよ。賢く生きなさいな」

「早く椅子の掃除をしなさいよ!汚い仕事は全部あんたたちの仕事でしょ?」

「そうだ!もっと相応わしい格好にしてあげる!」

一人が杖を向け、呪文を唱える。すると、ヴァイオレットとミモザの上から大量の水が降り注いだ。だが、これはただの水ではない。掃除を終えた後の埃だらけの汚れた水だ。

「ウェッ!」

「ゲホゲホッ!」

汚い水が鼻や口から入り込み、ヴァイオレットとミモザは吐き気を催しながら咽せる。その様子を見て三人はさらに大声で笑った。
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