アオハル、キス。
「ねぇねぇ、翔吾(しょうご)!遊びいこーよっ!」
ある日の放課後、SHRも終わりざわざわと騒がしい教室の中で瞳ちゃんの声が響く。
瞳ちゃんが話かけているのは、学年で一番かっこいいと言われているのクラスの人気者。
クールだけど、男子とは楽しそうに遊ぶし、たまに見せるくしゃっと笑う顔が可愛いしカッコいい。
私も少し前まで近くで話したりできていたのに、今はもう、離れたところから見ることしかできない。
『のどかちゃん』
って呼んでくれる最近少し低くなった声が好きだった。
きゅっと胸が苦しくなる。
もう翔吾くんにも”背後霊"って伝わってるのかな。
嫌われちゃったかな・・・。
密かに芽生えていた恋心もしゅんと萎(しぼ)んでいく。
翔吾くんを囲む男子数人と瞳ちゃんと紗栄ちゃんたちはいつもクラスで圧倒的存在感を放っていた。
そこにたまたま混じれていた私は、本当に場違いだったのだと、あの輪から離れて気づかされた。