アオハル、キス。
数日経って、今は体育の時間。
持久走の練習でグラウンドのトラックを女子がひとかたまりになって走り始める。
私はどちらかというと走るのは好きな方。
走っている時は余計なことを考えなくて済むから。
集団の前の方を走っていると、
ドンッと誰かに強く背中を押された。
私はバランスを崩し、誰かの足に自分の足が引っかかってそのままドサっと前に転けた。
「フッ」
「ダサっ」
前を走っていくかたまりの中からそんな声が聞こえたのは気のせいじゃない。
痛い・・・
地面に擦り付けた膝も手のひらも心も何もかも。
だめだ・・・
涙が出そう。
ゆっくりと立ち上がると、膝から血が出ていた。
「大丈夫か、桜木。保健室行って休んでろ」
駆けつけたクマみたいな体育の先生が心配そうにそう言った。