両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「いいじゃん、別に。っていうかお前、おやじ達に俺が帰国してること告げ口しただろ。内緒にしてくれって頼んだのに」
悠希に睨まれ、「ごめん」と頭を下げた。
「翔真さんが話しちゃって……」
「ま、そんなことだろうなとは思ったけど」
悠希はすぐに笑ってくれた。本気で怒っていたわけじゃないんだとほっとする。
「とりあえず、兄貴の秘密は教えてやれないな」
意地悪な表情で言う悠希に、「そんなふうにもったいぶって。どうせ大した秘密じゃないんでしょ」と言い返した。
「それにしてもこの東屋懐かしい。子どものころよくここで遊んだよね」
庭を眺めながら、悠希の隣に腰かける。
「あぁ。彩菜がすぐに泣くせいでよく兄貴に怒られたんだよな」
「それは悠希が意地悪をするからでしょう?」
一歳差の悠希と私は、追いかけっこやかくれんぼで張り合うように競い合っていた。だけどどんなにがんばっても悠希には勝てなかった。負けて落ち込むと悠希にからかわれ、くやしくていつも泣いていたっけ。
そんな私を、翔真さんは優しくなぐさめてくれた。そのころから翔真さんは、私にとって憧れの人だった。
「タビちゃんを拾ったのもここだったなぁ」
「あー。タビは兄貴と彩菜が見つけたんだよな」
悠希に睨まれ、「ごめん」と頭を下げた。
「翔真さんが話しちゃって……」
「ま、そんなことだろうなとは思ったけど」
悠希はすぐに笑ってくれた。本気で怒っていたわけじゃないんだとほっとする。
「とりあえず、兄貴の秘密は教えてやれないな」
意地悪な表情で言う悠希に、「そんなふうにもったいぶって。どうせ大した秘密じゃないんでしょ」と言い返した。
「それにしてもこの東屋懐かしい。子どものころよくここで遊んだよね」
庭を眺めながら、悠希の隣に腰かける。
「あぁ。彩菜がすぐに泣くせいでよく兄貴に怒られたんだよな」
「それは悠希が意地悪をするからでしょう?」
一歳差の悠希と私は、追いかけっこやかくれんぼで張り合うように競い合っていた。だけどどんなにがんばっても悠希には勝てなかった。負けて落ち込むと悠希にからかわれ、くやしくていつも泣いていたっけ。
そんな私を、翔真さんは優しくなぐさめてくれた。そのころから翔真さんは、私にとって憧れの人だった。
「タビちゃんを拾ったのもここだったなぁ」
「あー。タビは兄貴と彩菜が見つけたんだよな」