両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「どうされたんですか?」
「実は再来週、パーティーがあるんだ。それに翔真と一緒に出席してほしいんだが、どうだい?」
「パーティーですか……」
「あぁ。自動車業界が集まるパーティーでね。彩菜ちゃんを翔真の妻として紹介したいんだ。それなのに翔真が渋るから直接聞こうと思ってね」
 お義父様の隣では翔真さんがため息をついていた。私にパーティーに参加してほしくないんだろうか。
 でも、翔真さんの妻としてできることがあるならお役に立ちたい。そう思いうなずく。
「もちろん。大丈夫です」
 するとそれまで見ていた翔真さんが口を開いた。
「無理はしなくていいよ。最近彩菜は少し疲れているだろ?」
 彼の前では普段通り振舞っているつもりだったのに……。
 するどい翔真さんには私が落ち込んでいるのがばれていたようだ。
「おや。彩菜ちゃんは体調が悪いのかい? それは心配だね」
 お義父様にまで心配され、慌てて首を横に振る。
「いえ、そんなことは……!」
 否定した私の横で、萌絵さんが「そうなんです」とうなずいた。
「最近、藤沢さんは食欲がないみたいで」
「萌絵さん」
「だって、今日もサラダしか食べてないでしょう」
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