両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 翔真さんがここまで心配してくれるのは、私が頼りないからだろう。自分の未熟さが情けなくなる。
「そうだ。母さんが彩菜ちゃんと買い物に行きたいと言っていたんだ。体調に問題がないなら来週末あたりどうだい?」
「お買い物ですか?」
「あぁ。パーティー用のドレスを選びたいと言っていてね。ドレスに合う靴やアクセサリーも買ってあげたいと張り切っていたよ」
「そんな、わざわざ買っていただくなんて申し訳ないです」
 私は冷や汗をかきながら断る。
「彩菜のドレスは俺が用意しますから、大丈夫ですよ」
 翔真さんも私に同意してくれた。けれどお義父様は引く様子はなかった。
「そうやって断ると、母さんが『彩菜ちゃんを独り占めするつもりでしょう』と拗ねてしまうぞ。かわいい娘と一緒に買い物をしていろいろ買ってあげるのが、母さんの夢だったらしいから」
 そう言われると断るのが申し訳なくなってしまう。少し困りながら翔真さんに耳打ちする。
「翔真さん、どうしましょう」
「まぁ、母が楽しみにしているなら断るのもかわいそうだし、彩菜の体調に問題がないなら付き合ってあげようか。一応来週末の予定を確認するから……」
 ふたりでそんな話をしていると、お義父様が「翔真はついてこなくていいらしいぞ」と付け足した。
「え?」
< 116 / 191 >

この作品をシェア

pagetop