両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 ただ歩いているだけでこんなに絵になるなんて反則では……。
 ときめきを必死に隠す私の隣で、園田さんが熱いため息をついた。
「副社長、本当にかっこいいですね。顔だけじゃなく、佇まいやオーラがすごくて圧倒されました」
 そうなんです。翔真さんは本当にかっこいいんです!と身を乗り出したくなる気持ちをぐっとこらえて微笑む。
「たしかに。あのままモデルになれそうだよな。機会があれば写真を撮らせてもらいたいくらい」
 カメラマンの佐野さんの言葉に、園田さんが目を輝かせる。
「いいですね! 長身でスタイルがいいのでスーツ姿も素敵でしたけど、ゴージャスなハイブランドのロングコートを着てワイルドなイメージで撮影したらすごく映えそう」
 モデルとして撮影される翔真さんの姿を想像するだけで足が震えた。そんなの絶対にかっこよすぎる。反則を通り越して罪なレベルになるのでは。
 だめだ。そんな翔真さんが雑誌に載ったら、見た人みんなが翔真さんに恋をしてしまう……。
「藤沢さんから副社長に、モデルに挑戦しませんかとすすめてもらえませんか?」
 のりのりな園田さんに、なんとか平静を装い「どうでしょう」と言葉を濁した。
「副社長は個人としてのメディア出演は断っているので、むずかしいかもしれません」
「そんなこと言わずぜひ!」
「ええと……」
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