両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
そう思った瞬間、悠希の言葉を思い出した。
『兄貴にはずっと好きな人がいて、その相手と結婚するためにって……』
嫌な予感に襲われ、足がすくんだ。
悠希なら知っているかもしれない。翔真さんが好きだった女性がどんな人なのか。そして、翔真さんは今でもその女性と連絡を取り合っているのか。
震える手でスマホを取り出す。悠希の番号を押したとき、玄関のほうから鍵が開く音がした。
翔真さんが帰って来たんだと気付き、慌てて電話を切り避妊具の箱を棚の奥に隠す。そして彼を出迎えるために廊下に出た。
動揺した顔で寝室から出てきた私を見て、翔真さんが不思議そうに首をかしげた。
「彩菜。どうかした?」
私は自分を落ち着かせるように深呼吸をして、「いえ」とかぶりを振る。
「なんでもないです。おかえりなさい、翔真さん」
なんとか笑顔でそう言うと、翔真さんが柔らかく微笑んだ。
「ただいま、彩菜」
私の名前を呼ぶその声が世界で一番好きだ。だけど今はその声を聞くだけで、胸が引き裂かれるように痛んだ。
翔真さんは私を裏切っているんだろうか……。
避妊具のことや好きだった女性のことをちゃんと聞いたほうがいい。そうわかっているのに言葉が出なくなる。
だって彼から『浮気した』と言われたら……?
『兄貴にはずっと好きな人がいて、その相手と結婚するためにって……』
嫌な予感に襲われ、足がすくんだ。
悠希なら知っているかもしれない。翔真さんが好きだった女性がどんな人なのか。そして、翔真さんは今でもその女性と連絡を取り合っているのか。
震える手でスマホを取り出す。悠希の番号を押したとき、玄関のほうから鍵が開く音がした。
翔真さんが帰って来たんだと気付き、慌てて電話を切り避妊具の箱を棚の奥に隠す。そして彼を出迎えるために廊下に出た。
動揺した顔で寝室から出てきた私を見て、翔真さんが不思議そうに首をかしげた。
「彩菜。どうかした?」
私は自分を落ち着かせるように深呼吸をして、「いえ」とかぶりを振る。
「なんでもないです。おかえりなさい、翔真さん」
なんとか笑顔でそう言うと、翔真さんが柔らかく微笑んだ。
「ただいま、彩菜」
私の名前を呼ぶその声が世界で一番好きだ。だけど今はその声を聞くだけで、胸が引き裂かれるように痛んだ。
翔真さんは私を裏切っているんだろうか……。
避妊具のことや好きだった女性のことをちゃんと聞いたほうがいい。そうわかっているのに言葉が出なくなる。
だって彼から『浮気した』と言われたら……?