両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「ということは、帰りは日曜日ですか?」
「ああ。お土産はなにがいい?」
「翔真さんが買ってきてくれるなら、なんでもうれしいです」
 そんな会話をしながら、ほっとしている自分がいた。
 とりあえず三日間は翔真さんと顔を合わせなくてすむ。
 その間にちゃんと考えよう。あの避妊具について聞くべきなのか、それとも知らないふりを続けたほうがいいのか……。
 私がうつむき考え込んでいると、「彩菜?」と名前を呼ばれた。
 はっとして顔を上げる。翔真さんが黙り込んだ私を見ていた。
「どうかした?」
「あ、いえ」
 慌てて首を横に振り取り繕う。
「忙しいと思いますが、無理しないでくださいね」
「それはこっちのセリフだよ。彩菜こそ無理をしないように」
「私はそんなに頼りないですか?」
「そうじゃない。ただ、俺が離れている間にほかの男に口説かれないかは少し心配だけど」
「心配しなくても、誰も口説いたりしませんよ」
 彼の冗談にくすくす笑うと、翔真さんはわずかに目を細めて私を見た。
「彩菜は自分がどれだけ魅力的か、自覚したほうがいい」
「そんなこと……」
「この前のパーティーでも参加者たちが彩菜を目で追っていたのに気付いてなかっただろ」
「私ではなく翔真さんを見ていたんだと思いますよ」
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